Module
# 幾何的直感 としての 加群 Module
![](/image/module1.png width=150)$ \ \otimes $ ![](/image/module2.png width=150) $ \ = \ $ ![](/image/module3.png width=150)
$$ (y-x) K [x,y] \quad \otimes \quad ( x^2 + y^2 - 1 ) K [x,y] \quad \quad = \quad ((y-x)(x^2 + y^2 -1)) K [x,y] $$
## Pair
$ M \oplus N $ は、M と N の pair である。
関数の pair とは、つまりは連立方程式のことである。
## Tensor
### $ mR \otimes nR $
$ M \otimes N $ において、$ M $ , $ N $ がそれぞれ既約のときつまり、$ pR \otimes qR $ の時、元を取れば、
$$ pr \otimes qs = p (r \otimes qs ) = pq (r \otimes s) $$
となるが、$ (r \otimes s) $ は、$ R \otimes R = R $ の元なので、以下は同型である。
$$ \phi : pR \otimes qR \to pq R $$
$$ \phi : pr \otimes qs \mapsto pqrs $$
つまり、この場合を一般化すると「最小公倍数」のようなものである。
### $ R/mR \otimes R/nR $
この場合は、同様に、最大公約数のようにふるまう。
$ K[x,y]/(x^2+y^2-1)K[x,y] \otimes K[x,y]/(y-x)K[x,y] $ であれば、
共通部分である、2点上の関数環 つまりは、$ K = \mathbb{R} $ のとき、$ K \times K $ と同型であろう。
## Algebraic Geometry
幾何的に解釈すると、M, N がそれぞれ関数空間となり、
* 関数の pair は、零点の intersection となり、
* 関数の tensor は、零点の union に対応する。
圏論の言葉でいうと colimit と limit が入れ替わる。
* $ (y-x) \oplus (x^2 + y^2 - 1) = ((y-x),(x^2 + y^2 -1)) $ : 連立方程式の解上の層
* $ (y-x) \otimes(x^2 + y^2 - 1) = ((y-x) (x^2 + y^2 -1)) $ : 零点の union 上の層
ここで、$ (y-x) $ とは、$ (y-x)k[x,y] $ の省略記法であり、これは $ 1 $ を含まず、環ではない。加群である。
零点 $ \{ (x,y) \; y = x \} $ 上で、零となる関数空間の集合であり、加群の性質を満たす。
* tensor $ \otimes $ は 和集合 union $ \cup $
* pair $ \oplus $ は 共通部分 intersection $ \cap $
となり、裏返っている。
# ubiquitous な定義
どの書籍でも目にするが、加群とはベクトル空間の一般化である。
これがそもそもの加群の始まりである。ベクトル空間は、実数などの連続した数の上に展開される加群として親しみがある。
実際、ベクトル空間とは、Field K 上の加群と定義される。
整数は、Field ではないので、整数上のベクトル空間のようなものを考えようというところが、加群のおこりと言えよう。
まとめると、
「加群」(Module) とは、「ベクトル空間の一般化した概念」である。
「ベクトル空間」とは、「実数などの数をいくつか並べたもの」と捉えることができる。
「加群」の重要な例として、「関数をいくつか並べたもの」があり、そのいくつかならんだ関数と零とで等式をつくることにより、「連立方程式の解集合」を考えることができ、それを代数多様体 variety と言う。
ベクトル空間の概念を一般化するとは、次のようなことである。
ベクトル空間は、電磁気学で習うように、連続な数(まずは実数)を前提にしている。
つまり、単位ベクトル「x軸方向に1」に対して、0.35倍や、$ \sqrt{3} $ , $ \pi $ 倍を考えることができる。
これに対し、八百屋での買い物を考えよう。単位ベクトルを「りんご一個」と「みかん一個」とすれば、
この係数は(返品なども考えれば)整数となり、ベクトル空間と同様に、平面格子の上に、かごの中身をプロットすることができる。
これが、「加群」である。
数学の言葉でいうと、
ベクトル空間は、係数が、「体」field であるのに対し、
「加群」は、その係数を、「環」ring へ拡張したものである。
この事実から、「加群」とは厳密には「係数「環」上の「加群」」である。
以下に、その具体例を述べる。
環 [その上の加群]
- 可換環
- 係数環 [多次元の数]
- 数式環 [連立方程式をつくる関数のリスト]
- 多項式環 (有限個の項からなる) [連立方程式を構成する関数のリスト]
- 冪級数環 (無限個の項をゆるす) [連立方程式を構成する関数のリスト]
- 非可換環
- 行列環 [場の理論を構成する数]
- 弦理論の関数環 [現代物理学による物理現象の説明式をつくる関数]
という風にざっくりと大別することができる。
加群が多くの大学生にとってとっつきにくい一番の理由はここにある。
ほとんどの書籍において、いまどの具体例を見ているのか、といった話がまるでない。
この意味で、環論の書籍など無意味なものが多く、[永田3]、[松村]でも読まない限りは、敢えて環論の書籍を購入する必要はない。
通常、上の二つのどちらかを考えればよいが、
係数環などにも、有限体 $ \mathbb{Z} _ p $ から、ときには行列環である、斜体(四元数) $ \mathbb{H} $ まで考えることもあり、注意が必要である。
トーラス面上でベクトルのようなものを考えることができるが、これは「剰余環 $ \mathbb{R} / \mathbb{Q} $ を係数とする加群」となる。
慣習として、つぎのように書く。
R-加群 : 環R上の加群 (Module on Ring R) のこと
一般に非可換環の場合のために、左R加群と右R加群をわけて考える定義が出回っているが、
可換環の場合には、分けて考える必要はない。
# 加群の圏と variety の圏
variety のなす圏と mod_K のなす圏とは、双対関係にあり、
ガロア群は、variety 上で考えることができる。
$ K[x] / (x^2 + 1) $ は、$ (x^2 + 1) K[x] $ とちょうど pair をなし、
全体の関数空間を構成する。
つまり、零点集合以外の挙動は全て無視してしまうのであり、零点集合の補集合上でいわば $ 0 $ と言える。
まとめると
* $ K[x] / (x^2 + 1) $ は、零点の補集合上で、$ 0 $ となり、零点上でのみ挙動する
* $ (x^2 + 1) K[x] $ は、零点上で、$ 0 $ となり、零点の補集合上でのみ挙動する
# ガロア群 と 係数拡大
ガロア群は、ある種の field homomorphism であり、体のなす圏の射である。
これらの射は、体 K 上の加群の圏にも当然自己同型射として埋め込まれている。
ガロア群は、体の自己同型射からスタートする。
加群においては、環も扱うこととなり、環の自己同型射としてゆるめてはどうか。
あるいは、環を積閉モノイド上の enriched category とみなして、
ガロア群を圏にまでゆるめてはどうか、
そしてこれを presheaf module の上で考えてみてはどうか、というのが、
現在のガロア理論である。
# Definitions
$R$ を環とする
$R$ を「係数環」という
## Left Module on $R$
$ \quad M $ is left module on $ R $
===================[def]
$ \quad R \times M \rightarrow M $
$ \quad\ (a,x) \mapsto ax $
satisfies ;
1. $ 1 x = x $
2. $ a(bx) = (ab)x $
3. $ ax + bx = (a+b)x $
4. $ ax + ay = a(x+y) $
## Right Module
satisfies
(2'). $ \quad (xa)b = x(ab) $
## e.g.
- $ R $ : field
- $ M $ : vector space
- $ Hom(M,N) $ : matrix : linear transformation
- $ R $ : ring
- $ M $ : Affine space
- $ Hom(M,N) $ : Affine Transformation
- $ R $ : matrix
- $ M $ : big vector
- $ Hom(M,N) $ : big Matrix
# known facts about modules
~~~
Z is initial object
Z is projective module
Euclidean space is initial object
Euclidean space is projective space
non-Euclidean space
球面幾何の著しい特徴の一つに,「相似」という概念がないことがあります。
球面上の三角形は,三つの角の大きさが等しければすべて合同です。
実際,三つの角が決まれば,球面三角形の面積も決まってしまう
平面上の三角形は,三つの角の大きさが同じでも,合同とはならず、無数の相似三角形が存在します。
simply connected
iff
fundamental group is trivial
~~~
# 参考文献
- [永田1] 高校生のための代数幾何
- [永田2] 可換体論
- [永田3] 可換環論
- [松村] 可換環論
- [Hartshorne] Algebraic Geometry
- [望月] [数体と位相曲面に共通する「二次元の群論的幾何」](http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kenkyubu/kokai-koza/H24-mochizuki.pdf)